融資を受けて持ち堪える会社or潰れる会社

外出自粛や緊急事態宣言で業種を問わず、多くの企業や個人事業主の売上がゼロになりました。
2021年もその影響がまだまだ残っています。

そんな企業を支えるために国は、広く多くの企業や個人事業主に対して、支援金や融資を拡充させ、資金繰りを支えています。
しかし、それで本当に中小企業の倒産を防ぐことができるのでしょうか。

ここから先は想像しながら読んでもらえるとわかりやすいと思います。

田中家は家族4人
お父さん(利夫)40歳、お母さん(里子)39歳 専業主婦、長男(太郎)10歳、長女(花子)6歳、
マイホームを3,500万円で購入し月々の返済額は9万円
マイカーを300万円で購入し月々の返済額5万円
保険料は3万円
食費は7万円
携帯代3万円
水道光熱費2万円
教育費4万円
その他経費6万円
毎月平均して39万円の支出があります。
利夫の収入は、毎月45万円
毎月6万円ほど貯蓄に回しています。

ある日、突然、利夫は会社から解雇を言い渡されてしましました。
これまで一生懸命貯蓄はしてきたので、400万円ほど手元にお金がありますが、これまでの生活が維持できるのは10か月ほど、突発的な支出が発生した場合は、10か月持たない状況です。

解雇から2か月、利夫は一生懸命に仕事を探しますが、経済状況が悪く一向に就職先が決まりません。
残る資金は322万円、まだ少し余裕はあるものの、安心はできません。
そんな時、無利子無担保の融資が借りられることになり100万円を借りることにしました。
これで手元資金は422万円となり、少し余裕が生まれました。

解雇から6か月、一向に利夫の就職先は見つかりません。
手元資金は266万円まで減りました。4か月前に借りたお金の返済が2か月後には始まります。
そうなると1.6万円固定費が増えることになります。

解雇から10か月、利夫の就職先は見つかりません。
手元資金は100万円を切り、持って後2か月。

解雇から12か月後、とうとう手元資金は枯渇してし、田中家は離散することになりました。

これを読んだ方の多くが、「利夫!なんでもええから仕事せ!」「住宅や車を売却しろよ!」「携帯を格安スマホに代えろよ!」など、様々な意見があると思います。

これを読んだ方に考えて欲しいのは、融資は一時の休息にしかならないという事です。
国は企業を救おうと支援金や無利子無担保の融資を積極的に行ってきましたが、融資をしたからと言って企業が助かるわけではないのです。

一時メディアで話題に上がりましたが、今回の支援金や融資は結局のところ、先延ばしだったのではないかと言われています。
根本的な原因を解決しない限り、資金繰りを改善することは難しいです。

融資を受けて持ちこたえる会社は、融資を受けて尚且つ、経営改善を行い受けた融資が先の収益に繋がるように使った会社です。
多くの場合、支援金や融資は固定費の支払に回されたと思います。

有事の際の理想は、6か月分の固定費が払えるだけの手元資金を準備しつつ、次の収益に繋がる戦略を実行するために融資や支援金を活用するというのが一番の理想です。
「そんなことできるわけないじゃないか!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それが出来なければ、融資を受けても潰れる会社になってしまいます。

1%でも可能性がある限り、最後まで諦めないでください。