情報不足がリスクを招く

32年ぶりバブル崩壊以来の円安、感染拡大防止による経済活動の制限、原材料費の高騰、原油の高騰など、中小企業を取り巻く世界情勢や経済情勢は大きく変化しています。

 

かつて日本の経済を支え輸出による外貨獲得に大きく貢献してきていた一次産業や二次産業は衰退し自国生産能力は大きく低下、巷にあふれる原料や製品の多くが輸入によるもの。

日本の経済を支えていた構造は大きく崩れてきた今、企業の内外に隠れていたリスクが明らかになってきています。

 

その原因は政府の経済対策の誤りであることは間違いありません。

しかし、企業も不確実性の中で事業を行っているのと同じように、経済対策も不確実性の中で行っているので必ずしも上手く行くと言う保証はない。

だからこそ経済政策の失敗を責めるつもりはないが、不確実性の中で行ってきた政策だからこそ、現状の結果に至った原因を追究する必要があったことは間違いありません。

 

中小企業を取り巻く政界情勢や経済情勢が大きく変化し、中小企業の存続に大きな影響を与えている今、昔と同じように不確実性がもたらした結果を「景気が悪いから」「どこも同じだから」という理由で片づけてしまっては、中小企業の生き残る道は見えてこない。

 

今、起こっているリスクは突然、宇宙から降ってきたものではない。

世界情勢や経済情勢、政策などを見ていればある程度、想定できていたことです。

例えば、コロナウイルス感染拡大によるサプライチェーンの寸断、入国制限、国内経済活動の制限などが起こった。

感染症はコロナが初めてではなく過去に何度もこのようなことはあった。

その際、どういうことが起こったのかを考え、現状の経済活動を踏まえて今後、どのようなことが起こるのか将来を想定した時、日本の経済が更に大きく低迷することは想定できた。

勿論、コロナウイルスという世界的な感染拡大は予想できるものではありません。

 

コロナに関わらず将来起こりうるリスクが想定出来ない大きな原因は、圧倒的な情報量が少ないことにある。

日本企業の特徴として、PDCAサイクルが大切だとは言うものの、PDCAサイクルを回せる組織は少なく、大抵の場合「Do」だけになっている。

PDCAサイクルが回せず「Do」だけをやり続け失敗するという悪いサイクルが回ってしまう大きな原因は、「Do」の全段階である「PLAN」の甘さにある。

PLANが甘くなる理由は、実現可能な将来を描けるだけの情報が足りないからです。

 

これと同じで、将来、起こりうるリスクの想定が甘いがために、世界情勢や経済状況という外的環境の影響を大きく受け、右往左往、行き当たりばったりのクライシスマネジメント(危機が発生した後に行う対応)を行っているのが日本企業と言えます。

 

日本企業に必要なのは、危機が発生する前にリスクを想定し対策を行うリスクマネジメントです。

リスクマネジメントと言うと難しく考える人もいるが、リスクマネジメントの基本は「情報」です。

この情報なくしてリスクマネジメントは行えません。

 

「情報と言われても何をすればいい?」と思われた方、難しく考えないでください。

まずは、

  • 一つでも多く発生しうるリスクを想像しリストアップする
  • リストアップしたリスクを共有する
  • 現状では無理だと諦めない
  • 理想を追い求めすぎない

上記4つから取り組んでください。

そうすれば、どんな情報が足りないのか、どんな情報が必要なのかが見えてきます。

 

リスクマネジメントという文字を見て拒否反応を起こすのではなく、まずは上記4つを取り組んでみてください。