できる経営者がキャッシュフロー計算書を読める理由は、事業経営に重要な資金状況を的確に反映している財務諸表であることを理解しているのと、お金が底を尽きれば会社が潰れてしまうという危機感を持っているからです。
キャッシュフロー計算書の作成義務がないから軽視していると、事業経営にとって大きなミスを起こす可能性もあります。
●3つの財務諸表
財務諸表には、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の3つがあります。
貸借対照表は、資金調達の状況とその使い道を表します。
損益計算書は、収入と支出を表します。
キャッシュフロー計算書は、お金の流れやお金の増減を表します。
貸借対照表と損益計算書の計算方法は簡単で、増えればプラス・減ればマイナスという計算方法で足したり引いたりします。
損益計算書は上から下へ流れるように数字を追えばある程度理解できますが、同じように上から下へ数字が書かれているキャッシュフロー計算書も損益計算書と同じように、上から下へ流れるように数字を追えば理解できるかというとそうではありません。
ここが、キャッシュフロー計算書を読むにあたりまず初めにぶち当たる壁ではないでしょうか。
キャッシュフロー計算書は、増えればマイナス・減ればマイナスという計算方法に必ずなるとは限りません。増えた場合でもマイナスと表記される科目もあれば、減ればプラスという表記がされる科目もあります。
これがキャッシュフロー計算書を読みにくくしている一つの原因ではないでしょうか。
●意気込み過ぎないのがポイント
「よし!頑張ってキャッシュフロー計算書を読めるようになるぞ!」と意気込んで、上から下まで全ての意味合いを理解しようとすると途中で頭が混乱し、結局、辞めてしまうことになるので、まずは、ⅠからⅥに分かれているカテゴリーについて理解することから始めましょう。
キャッシュフロー計算書は、直接法と間接法がありますがそれぞれ何が違うのかも今は知る必要はありません。
●C/Fは何を表しているのか
比較的、簡単な間接法を使って説明していきます。
- 営業活動によるキャッシュフロー
- 投資活動によるキャッシュフロー
- 財務活動によるキャッシュフロー
- 現金及び現金同等物の増減
- 現金及び現金同等物の期首残高
- 現金及び現金同等物の期末残高
上記がキャッシュフロー計算書の6つのカテゴリーです。
1.営業活動によるキャッシュフロー
売上に関わる現金回収分はプラス、原料や部品に関わる現金支出部分はマイナスで表記され、また、投資活動や財務活動に含まれない現金の動きもここに記載される。
2.投資活動によるキャッシュフロー
固定資産や有価証券などの取得や売却などの投資活動に関する動きが記載される。
固定資産を取得した場合はお金が出ていくのでマイナス、逆に固定資産を売却した場合はお金が入ってくるのでプラスとなる。
3.財務活動によるキャッシュフロー
資金の調達や返済などに関する動きが記載される。
融資を受けた場合はお金が入ってくるのでプラス、逆に返済をした場合はお金が出ていくのでマイナスとなる。
4.現金及び現金同等物の増減
1会計期間の現金の増減が記載されている。
営業活動によるキャッシュフロー+投資活動によるキャッシュフロー+財務活動によるキャッシュフローとなる。
5.現金及び現金同等物の期首残高
現金及び現金同等物の「現金」とは現金や預金、「現金同等物」とは定期預金や譲渡性預金などを言う。
その期の初めの残高が記載される。
6.現金及び現金同等物の期末残高
期の終わりに残っている残高が記載される。
大まかに上記ⅠからⅥが何を表しているのかをまずしっかり理解するとよいでしょう。
●フリーキャッシュフローはとても重要
キャッシュフロー計算書において重要なのが「フリーキャッシュフロー」です。
フリーキャッシュフローとは、事業活動で稼いだお金のうち自由に使える現金を表しています。
自由に使えるお金があって初めて、借入金の返済や株主への配当、事業拡大の投資が可能になります。
フリーキャッシュフローがプラスになっている会社は経営状態が良いと判断、逆にフリーキャッシュフローがマイナスの会社は経営状態が悪く資金調達が必要と判断されます。
フリーキャッシュフローはプラスであることが望ましく、フリーキャッシュフローがあって初めて、借入金の返済や株主への配当、事業拡大の投資が可能になります。
キャッシュフロー計算書は中小企業に作成義務はないものの、経営判断にとても重要な財務諸表であることは間違いありません。
これから先、まだまだ経済は厳しい状況が続くと予想されています。
この厳しい状況を乗り越えるためにもしっかりとキャッシュフロー計算書を理解し活用しましょう。
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