– 戦略のズレが生む“伝わらない価格” –
「この価格で売れると思ったのに…」そんな経験ありませんか?
商品は良いはずなのに売れない。
価格を下げても、なかなか買ってもらえない。
他と比べて特別高いわけでもないのに…
起業初期や新商品の販売で、こんな悩みに直面する方は少なくありません。
でも、そこで「もっと安くすれば売れるのかも」と価格をいじってしまうのは、危険なサインかもしれません。
実は、“価格”は単なる「金額」ではなく、戦略の出口です。
その価格が売れないのは、その前段階の設計にズレがある可能性が高いのです。
価格は「最後に決める数字」ではない
多くの人がやりがちなのが、
「商品ができたから、そろそろ価格を決めよう」
という順番。けれど、この流れだと“積み上げ式”になりがちです。
「材料費がこれくらい、加工費がこれくらい…よし、利益を乗せてこの価格にしよう」
でもその価格が、市場の相場から大きく外れていることも少なくありません。
市場とのギャップが“売れない”を生む
いざ販売しようとしたら、同じような商品がもっと安く売られていた。
慌てて価格を下げて販売したけど、ほとんど利益が残らない。
しかも、製造にかけたコストは回収しきれない。
こんな事態が起こるのは、販売価格を考慮せずに製造を始めてしまったからです。
本来の考え方は「逆算」
正しい順番はこうです:
販売価格 − 利益額 = 製造コスト
どれくらいで売れるのか?
いくら利益が必要か?
それに見合った製造・提供の形はどうあるべきか?
この逆算の発想が抜けてしまうと、売れても苦しい“自転車操業型ビジネス”になりかねません。
価格設定は“戦略の出口”。その前に見直すべきことがある
価格を考えるとき、まず整理しておきたいのは:
- 誰に届けたいのか
- その人にとって、どんな価値があるのか
- いくらだったら、その価値に見合っていると感じるのか
この3点が曖昧なままでは、価格は「伝わらない金額」になってしまいます。
つまり、ターゲット × 価値 × 価格の三位一体で考える必要があるのです。
商品化ステップ|実践に活かせる8つの流れ
価格設定に悩んだときは、“その一歩手前”に目を向けてみてください。
実は、売れる商品をつくるためには「価値設計 → 商品設計 → 価格設計 → 届け方」まで、流れとして組み立てる必要があります。
以下は、実際に現場で活用しているフレームです。
「どう商品をつくり、どう売れる形にするか」の流れを8ステップで整理しました。
-
届けたい人を明確にする(ターゲット設計)
誰に届けたいのか?その人の日常の困りごとは?
👉 スタート地点は「相手の姿を思い描くこと」 -
その人のニーズ(困りごと)を整理する
具体的に「こんな悩みを持っていて…」と語れる状態へ -
自分の商品がどう役立つかを考える(価値設計)
特性や差別化ポイントを言語化し、存在理由を整理 -
商品の形や使い方を考える(商品設計)
形状と使い方のイメージを一致させることがカギ -
価格を設定する(価値 × 相場 × 利益)
売れる・残る・続けられる価格設定を意識する -
作れるかどうかを検証する(コストと製造設計)
トータルコストと利益のバランスを現実的に見極める -
どこでどう届けるかを考える(流通・販売チャネル)
届け先に最適なチャネル設計を行う -
小さく試す(テスト販売とフィードバック)
販売前の調整で、精度と反応を高める
まとめ:価格の前に、“設計の順番”を見直そう
価格だけを見て悩むのではなく、
「なぜこの価格なのか?」を支える戦略と構造が整っているかを見直してみましょう。
価格は、ビジネスの“出口”です。
出口に迷うときこそ、“入り口から設計し直す”ことが、次の一手につながります。
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