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小口入札・競売・M&A──3つの仕組みで見えてくる

【制度でつくる安定収益】小口入札・競売・M&A──もう一つの柱”のつくり方

– はじめに –

「がんばっているのに、売上が安定しない」「取引先が限られていて、先が見えない」「新しいことを始めたいけれど、リスクは取りたくない」── 多くの一人社長や小規模事業者が直面するのは、努力では変わらない構造的な壁です。

これからの安定をつくる鍵は、「がんばり方」を変えるのではなく、「仕組みを活かす」こと。 その代表例が、国や行政が用意している制度です。本記事では、実地で活用している 小口入札・競売(動産)・小規模M&Aの3つを比較しながら、 小さな事業でも「もう一つの収益の柱」をつくる考え方を整理します。

小さな事業でも使える「3つの制度」

① 小口入札──営業ゼロで安定収益をつくる

「小口入札制度」は、地元の役所と直接取引できる仕組み。印刷・清掃・修繕・物品購入など日常的な業務に対し、 登録した業者が見積を出して受注します。

  • 特徴:営業なしで行政と取引可/案件は月5万〜50万円規模が中心/一人社長でも登録可能
  • 向いている人:営業が苦手/地元で信用を積み上げたい/安定した受注を望む
  • ポイント:特別な資格は不要。登録・見積・納品等の手順に慣れるほど継続性が高まる

キーワード:営業ゼロ × 信用 × 継続 → 仕組み型の安定化戦略

② 競売(動産)──利益を確保する“仕入れ”の仕組み

「競売」と聞くと不動産を想像しがちですが、物品(動産)の競売もあります。厨房機器・オフィス家具・店舗設備・車両などを 公開入札で低価格取得し、再販や自社活用で利益を確保します。

  • 特徴:国・自治体・金融機関などの公開入札/低価格で資産を取得/再販・再利用に活用可
  • 向いている人:原価を下げたい/設備導入コストを抑えたい/小さく仕入れて利益を出したい
  • ポイント:目利き・在庫管理・法的手続きの理解がコツ。慣れるほど利益率が安定

キーワード:仕入 × 利益 × 再利用 → 利益確保型の再構築戦略

③ 小規模M&A──黒字のまま次の挑戦を引き継ぐ

「M&A」は大企業だけの話ではありません。スモールM&Aなら、個人事業や小さな会社でも 実績・顧客・ノウハウを引き継ぎ、黒字のまま1→2の拡張が可能です。

  • 特徴:既存の顧客・仕組みを引き継げる/0→1ではなく1→2へ/地域の商いを守る効果も
  • 向いている人:新分野に挑戦したい/既存事業を広げたい/人・仕組み・信用を活かしたい
  • ポイント:交渉・契約・引継ぎ後運営の準備が鍵。時間を買い、リスクを下げる合理的手段

キーワード:継承 × 拡張 × 挑戦 → 展開型の成長戦略

3つの制度を比べて見えてくる「安定の構造」

視点 小口入札 競売(動産) 小規模M&A
主な目的 安定収益 利益確保 事業拡張
必要スキル 登録・見積作成 目利き・仕入れ管理 経営感覚・交渉力
向いている層 営業が苦手/地元密着 仕入・再販志向 継承・多角化志向
スタート難易度 ★★☆☆☆ ★★★☆☆ ★★★★☆
即効性 高い 中程度 低いが持続性大

3つの制度の共通点は、「努力や根性ではなく、構造で稼ぐ」という考え方。 そして違いは、入札=安定化、競売=利益構造の見直し、M&A=展開と継承を担う点です。 組み合わせることで「安定・利益・拡大」のバランスが取れます。

どの制度から始めるべきか?──7ステップで考える

人が行動するときは、感情と納得の流れがあります。私たちが整理している「ターゲット行動心理フロー(7ステップ)」でも同様です。

  1. 違和感の芽:なんかうまくいかない
  2. 感情の共鳴:そうそう、それ!
  3. 構造の理解:なるほど、そういうことか
  4. 未来の想像:もし、こうなれたら…
  5. 道の明示:こうやればできるんだ
  6. 感情のスイッチ:やってみたい!
  7. 自分で選ぶ:よし、やってみよう

いまの自分のフェーズに合わせて選ぶのが近道です。 「安定したい」なら小口入札、「利益を増やしたい」なら競売(動産)、 「次の挑戦をしたい」なら小規模M&A

制度は目的ではなく手段。フェーズ適合が成果を早めます。

まとめ──制度を活用する人が、次の時代の安定をつくる

安定とは、やり方を増やすこと。一つに依存せず、制度という「仕組み」を味方にすることで、 小さな事業でも大きな変化を起こせます。制度を知る人が変化に強くなり、仕組みを使う人が安定をつくり、 行動した人が次の一歩を掴みます。